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のろのろのろ雑記


2008年08月26日 [ColdFire] ColdFire×P2P地震情報(1) 震度計としての加速度センサ

_ [ColdFire] ColdFire×P2P地震情報(1) 震度計としての加速度センサ

はじめに

 Interface 9月号付録 "ColdFire基板" を使って,P2P地震情報のサービスを作ってしまおう! という,勝手な企画です.楽にやりたいので,SilentCインタプリタで頑張ります.目標は次の通り.

  1. 簡易震度計ネットワーククライアント
    • 加速度センサの値を適切に処理し,集計サーバに送信する
  2. ゲートウェイ方式のP2P地震情報クライアント
    • Interface 10月号にあるような,ゲートウェイ方式(クライアント-サーバ型)のP2P地震情報クライアントを制作
  3. ハイブリッドP2P方式のP2P地震情報クライアント(ピア)
    • たぶん無理だけど,別ネットワークでもいいからP2P方式のクライアントを制作

 「クライアントを作ってどこに表示するの?」というのは,また別の話です.というわけで,早速始めましょう.

"震度計" としての加速度センサ

 『震度』を知らない人はいないでしょう.緊急地震速報でも,地震情報でも,当たり前のように見かけます.この震度,正確には震度階級は「0〜4,5弱・5強,6弱・6強,7」の10段階で,『計測震度』から換算されています.1.5だったら震度2,という具合です.

 突然ですが,この計測震度はどうやって換算されているでしょうか.そう,ここで加速度センサが登場します.計測震度の計算に,3軸の加速度センサが使われているのです.つまり,3軸加速度センサが実装されているColdFire基板は,震度を計算可能なポテンシャルを持っています.ただし,加速度センサの値をそのまま使うだけでは,震度を計算することはできません.

 『ガル(gal)』という単位,「地震で○○ガルを記録した」「原発の耐震基準は○○ガル」といった形で名前だけ知っているという方も多いのではないでしょうか.これは加速度の単位で,センチメートル毎秒毎秒(cm/s^2)を指します.

 しかし,加速度は必ずしも被害や体感と直結した値ではないことが分かっています.そこで,地震波の周期などを考慮し,加速度と速度の中間を求めるような式を用いているのが,気象庁の計測震度です.

番外編: 昔の震度、海外の震度

 昔の『震度』は,人間の体感や被害の様子に応じて決められていました.また,その震度に相当する最大加速度が示されていました.家庭用震度計として有名な『グラグラフ(GraGraph)』は,この最大加速度によって震度を算出しているようです.

震度01234567
加速度(gal)〜0.80.8〜2.52.5〜88〜2525〜8080〜250250〜400400〜

 一方,海外では現在も『改正メルカリ震度階級』『MSK震度階級』などが使われていて,概ね体感や周辺の様子に基づき決定されています.目安となる最大加速度を示すところもありますが,ここでは省きます.

ColdFire基板で "計測震度" は非現実的,『5HzPGA』を使う

 では,ColdFire基板で計測震度を算出… したいところですが,計測震度の計算にはフーリエ変換,フィルタ処理などが含まれており,これを実用的な速度で行うのはかなり難しそうです(それ以前にメモリが足りないかもしれません).

 でも心配はいりません.『5HzPGA』というものがあります.これは,0.1Hz〜5Hzまでのバンドパスフィルタを掛けた最大加速度のようで,純粋な最大加速度と比べて震度との対応が良いようです.今回は,この5HzPGA『のようなもの』を目指すことにします.

参考