2009年05月25日 [ColdFire] ColdFire×P2P地震情報(B) 独自フィルタ vs SI値 (?)
_ [ColdFire] ColdFire×P2P地震情報(B) 独自フィルタ vs SI値 (?)
estimaさんからSI値の計算データと計算方法をいただいたので,どんなものかと,従来の方法とあわせて比べてみました.
比較方法
- 気象庁が公開する地震の観測データを用いる.
- 震度5弱〜7を観測した,7つの地震・143のデータ.
- サンプリング周波数は100 Hz,ほぼすべて0.001ガル単位での記録.
- 従来の方法(独自フィルタ)による値とSI値を計算する.
- 独自フィルタ: 100サンプル移動平均を基準点(オフセット)とし,15サンプル移動平均をデータとする.
- フィルタ特性は "(5) ノイズを除去する" に記載(20 Hz時のものだが,100 Hz時とほぼ同等のはず).
- SI値: "<PDF> インテリジェント地震センサの開発" に記載されている計算法をもとにした数値積分計算を行う.
- ただし,後述する理由により,100サンプル移動平均を基準点(オフセット)とする.
- 固有周期 T は,0.1から2.5までの区間を0.1刻みで計算
- 独自フィルタ: 100サンプル移動平均を基準点(オフセット)とし,15サンプル移動平均をデータとする.
震度換算値は,それぞれ近似曲線(回帰曲線)の式を用いて算出することとします.
ゼロ点(オフセット)のズレによる,積分時の問題について
新潟県中越地震では,いくつかの観測点でゼロ点(オフセット)のズレのようなものが発生しており,加速度を積分して速度あるいはSI値を算出する際に,延々と速度・SI値が増えていくという問題が発生しました.
<PDF> 全観測データの計算結果(異常と思われるものに色付け)
そこで,独自フィルタで用いていた「100サンプル移動平均を基準点(オフセット)とする」方法を,SI値の計算にも適用することとしました.これにより,先述した問題は以下のように解決します.
比較結果
うーん,SI値がやや劣る結果になりました.
詳しく見ると,揺れの周期が長いと思われる十勝沖地震(本震・最大余震)での精度が悪く,相関係数(R^2)は,SI値(3方向)で0.35,独自(3方向)で0.64となりました.それを除くと,SI値が0.85,独自が0.93と良好ですが,SI値の相関が劣る状況は変わりません.
ColdFire基板の加速度センサデータは
いや,ColdFire基板の加速度センサデータなら,「平常時震度3」という状況を改善出来る方法として使えるかもしれない…!
…あれ,あれれ?
SI値を使うのはちょっと微妙かも.